Press Information
LTE通信を活用したドローン飛行の実証試験を新潟県柏崎市で実施
CoasTitan®を活用した自律無人機によるパトロール自動化で、ガスパイプライン事故の未然防止を目指す
CoasTitan®を活用した自律無人機によるパトロール自動化で、ガスパイプライン事故の未然防止を目指す
株式会社INPEX(以下、INPEX)、株式会社INPEXパイプライン(以下、INPEX PL)、三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)および三菱重工マシナリーテクノロジー株式会社(以下、MHIMT)の4社は、INPEXが所有し、同100%子会社であるINPEX PLが維持管理する新潟県柏崎市のガスパイプライン沿線付近にて、三菱重工の自律無人機ネットワーク型監視システム「CoasTitan®」を適用したドローン飛行の実証試験を実施しました。本実証試験では、モバイル端末の通信規格であるLTE(Long Term Evolution)通信を活用したドローンの長距離自律飛行時における安全性の確認と、リアルタイムでのAIによる道路状況の確認および画像伝送といった先進性の高い取り組みに成功し、自律無人機によるパイプラインパトロールの可能性を確認したものです。
INPEXは、国内天然ガス事業において計1,500km以上の輸送パイプラインを有していますが、これらの多くが公道下に埋設されているため、INPEXまたはINPEX PLに未連絡で道路開削工事(未照会工事)が実施された場合、パイプラインの損傷やガス漏洩による事故に繋がることが懸念されています。このため、INPEX PLにて全線にわたって車両巡回を実施し、未照会工事の事前または早期検知に努めていますが、ドローンの利活用により、巡回頻度の増加とこれに基づく保安・安定供給のさらなる強化、パトロール員の長時間運転による交通事故リスク低減といった効用が期待できます。
三菱重工とINPEXは、2016年に「エネルギー分野における技術課題を共同検討する覚書」を締結しており、2020年度から共同でドローンの飛行実証試験も含めた自律無人機によるパイプラインパトロールの自動化を検討してきました。具体的には、三菱重工の防衛・宇宙セグメントが開発した自律無人機ネットワーク型監視システム「CoasTitan®」と、MHIMTが新たに開発するAIでの道路状況自動判別システムを適用することで、これまでの車両巡回による目視確認の代替システムとすることを目指しています。
国土交通省によるドローンのカテゴリーIII(注1)飛行要件を定めた改正航空法施行を見据えて実施された今回の実証試験では、カテゴリーII(注2)条件下、代替システムの必要要件である安全な長距離自律飛行、ドローン搭載カメラによる道路状況のリアルタイムでの確認、ドローンオンボードAIによる物体自動判別の可能性について確認しました。なお、今回の実証試験は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との共同研究の一部として実施されました。
今後は、さらなる長距離自律飛行の実施、AIモデルの物体判別精度向上、安全飛行のための施策の検討などを行い、自律無人機によるパイプラインパトロール自動化の早期実装を目指すとともに、災害時におけるパイプライン周辺や近隣自治体様の要望に応じた状況確認への活用なども視野に入れ検討を継続していきます。
- 1カテゴリーIII:航空法において、国土交通大臣の許可や承認が必要となる空域および方法での飛行である特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じないで行う飛行(=第三者の上空で特定飛行を行う)。
- 2カテゴリーII:特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じた上で行う飛行(=第三者の上空を飛行しない)。
実証試験概要
- 実証試験場所:新潟県柏崎市のINPEXガスパイプライン沿線付近
- 飛行概要:LTE通信を活用し、長距離の飛行制御ステータスおよび撮影画像や工事状況の判別結果を伝送。飛行ケースによっては、経路付近に道路開削工事の模擬現場も設置し、リアルタイムでの画像確認やドローンオンボードAI(道路工事特徴物を学習させ、ドローンに搭載したエッジコンピューターに装備されたAI)による物体の自動判別を実施。
- 利用ドローン:国産シングルローター型UAV(ガソリンエンジンを採用し最大100kmの飛行が可能)
- 工事状況の判別:バックホーや三角コーンといった道路工事特徴物をドローンオンボードAIにより自動判定、LTE通信にて地上システムに伝送。
CoasTitan®について
三菱重工 防衛・宇宙セグメントにて開発した、各種センサーを搭載した自律型無人機(空中/水上/水中/陸上)をネットワーク化することで、少人数のオペレーターによる対象物の点検・監視(画像撮影)などを可能とする無人機管制システムで、重要インフラの点検・監視などに最適なソリューションを提供します。
CoasTitanは日本国における三菱重工業株式会社の登録商標です。
<INPEX>
INPEXは国内外で石油・天然ガスの開発と生産を中心に事業展開しております。2022年2月に「INPEXビジョン@2022」を公表し、「水素・アンモニア」、「CCS・CCUS」、「再生可能エネルギー」、「カーボンリサイクルと新分野」、「森林事業」のネットゼロに向けた5分野の事業と石油ガス事業の徹底したクリーン化と強靭化を両輪として石油・天然ガスから水素、再エネ電力まで多様でクリーンなエネルギーを安定供給します。この一環として、ドローンの積極活用による事業の効率化・高度化および安全化を目指しており、また、ここで獲得した技術を新規事業として展開していくことも検討しています。
<INPEX PL>
INPEX PLは、INPEXが保有する一都八県に跨る総延長約1,500kmの天然ガスパイプラインの保守、管理および運用を行っております。また、近年においては、車載型ガス漏れ検知システムを使用したラインパトロール、ドローンを活用したパイプラインの点検など、先進的な技術を取り入れ業務の効率性や安全性を向上させています。今後においても、INPEXとの協働のもと、新技術導入に向けたチャレンジを継続するとともにエネルギーの安定供給に貢献し、皆さまの豊かな暮らしを支えていきます。
<三菱重工>
三菱重工グループは、2023年度までの事業計画において成長領域の開拓を掲げており、防衛・宇宙分野における取り組みを民需領域へのサービス強化に活用することはその一環です。当社はCoasTitan®をはじめとして、防衛・宇宙分野の環境変化に適合したセキュリティ関連製品を民需領域に展開し、安全・安心に向けたトータル・ソリューションを提供します。
<MHIMT>
MHIMTは、広島県広島市に本社を置く三菱重工のグループ会社です。各種産業機械の設計から製造までの一気通貫した生産技術、構造解析などのエンジニアリング技術、クレーンや工作機械の工場設備保守技術を保有しており、高度な総合エンジニアリングをもって顧客のニーズに応じた最適ソリューションを提供しています。当社が保有する技術のうちの1つである対テロ・密輸入監視カメラ分野で培った高画質映像通信技術やAI技術を活用し、セキュリティ関連での最適ソリューションを提供します。
三菱重工グループについて
三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。
詳しくは:
- 三菱重工グループのウェブサイト: www.mhi.com/jp
- オンラインマガジン SPECTRA: spectra.mhi.com/jp
- YouTube: Discover MHI
- Twitter: @MHI_Group | @MHI_GroupJP
- LinkedIn: Mitsubishi Heavy Industries をご覧ください。