Press Information

グループ表彰制度「Best Innovation 2024」で社会課題の解決に貢献する製品・活動などを表彰
さらなるイノベーションの促進で持続可能な社会の実現へ

Print

◆ カーボンニュートラルやDXなどの社会課題解決に貢献する革新的な製品・サービスなど計21件を表彰
◆ グループを挙げてイノベーションの奨励や環境保全意識の向上を図っていく

三菱重工業は、社会課題の解決につながる製品とサービスの開発・実用化に関わる取り組みなどを顕彰するグループ表彰制度「Best Innovation 2024」で選ばれた革新的な製品・サービス計21件を2024年の表彰案件として表彰しました。2003年から毎年実施しているもので、当社グループを挙げて、イノベーションの奨励や環境負荷低減意識の向上を図っていくのが狙いです。
このうち、地球環境負荷低減に貢献する案件など計13件を紹介します。

水素混焼を可能とする既設ガスタービン発電プラント改造サービス

〔三菱重工業株式会社 エナジードメイン〕

沖縄電力 吉の浦マルチガスタービン発電所

沖縄電力 吉の浦マルチガスタービン発電所

既設のガスタービン発電プラントにおいて水素混焼を可能とする改造サービスを受注し、成功裏に完遂した。具体的には、2015年に当社が納入したガスタービン発電設備(沖縄電力吉の浦マルチガスタービン発電所)に対し、水素の流量を制御しながら燃料ガスへ混合させるためのプラント設備の追設や制御ロジック改造などを行い、当社製ガスタービンが採用された商用発電設備を初めて水素混焼可能な商用設備に改造し、水素混焼運転(体積比30%規模)に成功したもの。この実績を足掛かりに今後、脱炭素社会実現に向けたソリューションとして、ガスタービン事業の拡大に貢献できる。

環境負荷が極めて低い冷媒を採用した新型大容量ターボ冷凍機「JHT-Y/JHT-YIシリーズ」

〔三菱重工サーマルシステムズ株式会社 大型冷凍機技術部〕

HFO-1234yfを採用した新型ターボ冷凍機「JHT-Y」

HFO-1234yfを採用した新型ターボ冷凍機「JHT-Y」

地球温暖化係数(GWP)が1未満と環境負荷が極めて低く、安定調達可能なカーエアコン用冷媒(HFO-1234yf)をターボ冷凍機として世界で初めて採用した。HFO-1234yfに合わせた高効率で小型の圧縮機を搭載しており、2023年以降多数の受注を獲得している。従来機からのリプレースが可能で、冷媒漏洩時の環境負荷を99.9%低減(CO2換算値)できるのが特徴。また、急激な電力需要が見込まれる北米や東南アジアの大規模データセンターの要求性能(2500~3000US冷凍トン)に見合った能力を有することから今後、一層の市場浸透を図っていく。令和6年度気候変動アクション環境大臣表彰を受賞。

新型基幹ロケット「H3」試験機2号機打上げ成功

〔三菱重工業株式会社 防衛・宇宙セグメント〕

H3ロケット試験機2号機打上げ(©JAXA)

H3ロケット試験機2号機打上げ(©JAXA)

我が国の新型基幹ロケットとして、2024年2月に初めて試験機2号機の打上げに成功した(7月には3号機、11月には4号機も成功)。H3ロケットは2014年から宇宙航空研究開発機構(JAXA)の下で開発を続けてきたもので、2023年に試験機1号機の打上げに失敗したが、失敗原因を究明して2号機の打上げ成功に至った。引き続き、当初の目標である柔軟性・高信頼性・低価格なロケットを目指し、段階的な改良を継続しつつ、今後は年間6機以上の頻度で人工衛星や宇宙機を安定的に打上げ、気象、通信、安全保障などの社会インフラの構築や宇宙利用・探査に貢献していく。

既設工場ボイラーの空気熱源方式ヒートポンプ「Q-ton Circulation、MSV」へのリプレースによる工場CO2排出量削減活動

〔三菱重工サーマルシステムズ株式会社 製造部〕

ヒートポンプによる工場CO2排出量削減活動

ヒートポンプによる工場CO2排出量削減活動

既存工場の熱源を蒸気ボイラーから当社製ヒートポンプに転換し、工場のCO2排出量を削減する活動を実施した。具体的には、必要熱量の計測や処理薬液変更などの施策により、活動開始から7年で生産設備用ボイラーを完全廃止し、CO2排出量を約40%削減することに成功した。当社製ヒートポンプは空気熱源方式であるため、電源と温水配管工事だけでリプレースが可能であることから、現在、80℃以下で行っている部品洗浄や熱処理の設備を有する工場への横展開を推進中。本活動は「2023年度省エネ大賞省エネ事例部門・省エネルギーセンター会長賞」を受賞するなど、外部評価も受け、今後の受注拡大も期待される。

世界初 新吸収液「KS-21™」による排ガス中のCO2の回収と有効利用が可能なアンモニア・肥料製造プラント

〔三菱重工業株式会社 GXセグメント〕

バングラディッシュ アンモニア・肥料製造プラント全景

バングラディッシュ
アンモニア・肥料製造プラント全景

アンモニア・肥料プラントにおける天然ガスの一次改質設備からの燃焼排ガスよりCO2を回収し、回収したCO2を肥料製造に利活用することが可能なプラント。当社がバングラデシュに納入したこのプラントは、同国最大のアンモニア・肥料製造プラントとして2024年3月から商用運転を開始。新吸収液「KS-21™」を用い、これまで大気に放出されていた燃焼排ガス中のCO2(240トン/日)を回収し、肥料増産(10%)を実現した。このことは国内外で報道され、カーボンニュートラル社会の実現および同国内における食料不足の解消にむけて大きく貢献するものである。

大容量の再エネ電源「高効率バイオマス専焼発電プラント」による循環型社会への貢献

〔三菱重工業株式会社 エナジードメイン〕

日向バイオマス発電所

日向バイオマス発電所

再生可能エネルギーを使用する発電システムとして、気象変動に左右されず大容量で安定したベース電源を担うことができる高効率バイオマス発電プラントによるCO2削減の取り組み。当社初となる再熱形循環流動層ボイラー、減速反動式蒸気タービンを採用したプラントで、石炭焚き発電プラントと比較して、1基あたり年間約30万トンのCO2削減を実現する(50MW級の場合)。また、標準設計の採用などにより、複数の顧客ニーズに合致する製品を同時並行で提案できる体制を整え、これまでに6件(総発電端出力:約320MW)の建設工事を受注、このうち4プラントがすでに計画工程通りの日程にて商用運転を開始した。残りの2プラントも2025年4月までには商用運転開始予定で、6件すべてが稼働すれば年間200万トン以上のCO2削減効果を期待できる。

航空機整備士育成プログラム(MHIRJアカデミー)による人材確保と地域雇用創出

Securing aircraft maintenance technician and creating local jobs through the aircraft mechanic training program (MHIRJ Academy)

〔MHI RJ Aviation Inc Academy〕

MHIRJ Academy 1期生卒業式

MHIRJ Academy 1期生卒業式

MHIRJアカデミーは、現在航空業界で問題となっている整備士不足に対し航空業界未経験者で業界に興味を持っていながらも何らかの理由で就職・転職がかなわない人を対象とした州政府の支援付きの8週間の報酬付き整備士育成プログラム。米国ウェストバージニア州ブリッジポートのMHIRJ整備格納庫において、MHIRJのベテラン整備士が講師となり、座学のみならず航空機の構造部品の板金・リベット打ちなどの実務も交え、航空機整備の基本となるトレーニングを実施し終了後はFAA認証の準整備士資格が授与されるプログラム。すでにプログラム受講者75名のうち64名が卒業し、MHI RJ Aviation Incで準整備士として勤務しており、人材確保と地域雇用創出に貢献している。今後、2025年5月までに計100名の卒業生を輩出する計画。

AIの活用によりガスタービン燃焼振動自動調整技術(A-CPFM)の更なる高度化を実現

〔三菱重工業株式会社 総合研究所〕

機械学習を用いたガスタービン自動調整の概要

機械学習を用いたガスタービン自動調整の概要

従来のガスタービンの燃焼振動自動調整技術(A-CPFM)(注)に機械学習を搭載し、予測結果の信頼度を考慮した自動調整を可能とするサービス技術を開発した。燃焼振動特性をリアルタイムに学習し、予測結果の不確実性を基にした安定燃焼領域の自動探索と調整を行うもので、リスクを抑えたガスタービンの運転を可能とする。併せて、機械学習用の運転データを自動収集する技術も開発し、長期的な経年劣化に伴う運転特性変化も考慮できる。この新技術を米国のジャクソン(Jackson)発電所のガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)プラントに適用し、燃焼振動によるトリップゼロを達成。これまでは対応困難であった新型燃焼器の燃焼振動調整も可能であることから今後、一層の市場浸透が期待される。

  • A-CPFM: Advanced Combustion Pressure Fluctuation Monitoring System

核融合実験炉ITERのキー部品を製作可能な、世界で唯一の複合精密製造技術

〔三菱重工業株式会社 原子力セグメント〕

外側垂直ターゲットプロトタイプ外観

外側垂直ターゲットプロトタイプ外観

超大型国際協力プロジェクトの実験施設である核融合実験炉ITER。その重要機器の1つであるダイバータの外側垂直ターゲット(OVT)の製作には、高熱負荷(最大20MW/m²)など過酷環境に耐えるため特殊材料による複雑構造・高い製作精度が要求される。これまで大型複合工作設備「スーパーミラー」や溶接材を必要としない「電子ビーム溶接」など長く積み上げてきた当社独自の製造技術で対応してきたが、これに加えて新たに、タングステンブロックのロウ付け部の接合技術(ブロック間公差±0.1mm)や非破壊検査技術、難溶接材料(XM-19ステンレス)の溶接・加工技術など複数の製造技術を開発し、この高難度な要求を満足するOVT試作機の製作に世界で初めて成功した。これにより、この技術はITER日本国内機関の量子科学技術研究開発機構から唯一認証を受けて、ITER用OVT全58基のうち同機構が現時点で分割発注する18基すべてを受注するに至った。次年度以降も発注が見込まれており、更なる事業貢献が期待される。

海外廃棄物焼却発電施設の計画外停止リスク低減と運転安定化を可能とする複合的リスクマネジメント技術
~「廃棄物焼却発電プラント統合運用システム「MaiDAS®」などの活用~

〔三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社 海外事業部〕

MaiDAS®適用中の中央制御室

MaiDAS®適用中の中央制御室

海外大規模廃棄物焼却発電施設の運営は、性状が不安定な廃棄物の焼却や不慣れなオペレーターによるヒューマンエラーなどの外乱により、高いリスクを伴うことがあるため、設備の計画外停止の低減は喫緊の課題であった。これに対し、プラント統合運用システム「MaiDAS®」の導入によって運転監視や自動運転による運転支援を図るとともに、運転データから休炉点検の必要時期を予測するツールを開発して、年間運転計画や日々の運転条件に反映することで、プラント運転の安定化を実現した。更には、薬品使用量低減技術の開発や施設運営の借入金利払い低減などの創意工夫で、事業性の向上も達成。この顕著な実績を踏み台に、今後、「MaiDAS®」を搭載した廃棄物発電設備を通じて、世界の環境負荷低減と地球環境保護に貢献していく。

次世代冷間圧延技術で電気自動車用電磁鋼板を製造

Next-Generation Cold Rolling Technology to produce magnetic steel for future electric vehicles

〔Primetals Technologies, Global Business Unit Downstream〕

ドイツ ボーフムのティッセンクルップ・スチールに設置された世界初の2スタンドリバース型冷間圧延設備HYPER UC-MILL®

ドイツ ボーフムのティッセンクルップ・スチールに設置された世界初の2スタンド
リバース型冷間圧延設備HYPER UC-MILL®

世界初の2スタンドHYPER UC-MILL®は、鋼板の誘導加熱装置、圧延潤滑油の供給量最小化技術MQL®、および鋼板の温度制御システムを備えた先進のリバース型冷間圧延設備である。最大の特徴である小径の作業ロールによって、硬質な電磁鋼板素材を電気自動車のモーターに適切な0.2mm程度の薄板に加工することが可能になった。高性能な電磁鋼板にはシリコン元素が多く含まれ、圧延中に割れが生じやすいため、加工の初期段階から最終厚みに至るまで温度監視と制御を行い、製造の安定化に大きく寄与した。商用生産1号機がドイツのボーフムにある鉄鋼メーカー、ティッセンクルップ・スチールですでに稼働中。圧延機は2023、2024に操業を開始し、電気自動車などに使用される薄肉高品位無方向性電磁鋼板、高張力鋼板(AHSS)を含む自動車業界のニーズに対応した全製品を生産している。電動化や電気自動車の普及により電磁鋼板の需要が増加しており、今後のビジネスの成長が期待される。

水素焚きガスタービンの燃焼器開発を効率化する超高速ブローダウン燃焼試験装置を開発

〔三菱重工業株式会社 総合研究所〕

ブローダウン燃焼試験装置および設備全体イラスト

ブローダウン燃焼試験装置および設備全体イラスト

大型ガスタービンの実圧燃焼試験を飛躍的に効率化する超高速ブローダウン燃焼試験装置を開発した。これにより、複雑かつ高速で難易度の高い装置の操作を初回作動で成功させ、6時間を必要としていた試験時間を1/120の3分に、試験燃料費も1/24と大幅に削減することに成功した。成功の要因は、大規模構造物の設計に加え、制御ロジックのエミュレータと温度・圧力静定を予測する動的シミュレ―ションの組合せで、弁開閉のタイミングや高速作動設定の妥当性を模擬する技術を開発・適用したことによる。この技術は、混焼から専焼までの幅広い水素濃度に対応可能なガスタービン燃焼器開発のほか、あらゆる大規模機械群・プラントの制御設計に応用可能であることから、今後の競争力のコア技術となり得るものと期待される。

デジタル時代を先導する企業として「DXグランプリ」を初受賞

〔三菱重工業株式会社 デジタルイノベーション本部〕

DXグランプリ受賞広告

DXグランプリ受賞広告

経済産業省、東京証券取引所、独立行政法人情報処理推進機構が主催する「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄2024」において、当社はグランプリを受賞し、デジタル改革の先導企業として選定された。これまで取り組んできた、当社グループ製品全体を自律化・知能化するソリューションコンセプト“ΣSynX(シグマシンクス)”の開発と社会実装が各方面に進み、カーボンニュートラル達成に向けた具体的なDXの取り組みなどがステークホルダーに評価された。


Tags: Best Innovation
mission_net_zero

三菱重工グループについて

三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。

詳しくは: