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舶用LNG燃料ガス供給システム初号機搭載、国内初のLNG燃料自動車運搬船が就航 三菱造船、建造元とのきめ細かい連携により同船の引渡しに貢献

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◆ FGSS供給のほかガスハンドリングに関するエンジニアリングや技師派遣で造船所をサポート
◆ 環境省、国交省のモデル事業採択により、実運航時のCO2排出削減技術を実証

三菱重工グループの三菱造船株式会社(社長:北村 徹、本社:横浜市西区)は、昨年11月に納入した舶用二元燃料主機向けLNG(液化天然ガス)燃料ガス供給システム「FGSS(Fuel Gas Supply System)」の初号機について、このたび株式会社新来島豊橋造船(社長:森本 洋二氏、本社:愛知県豊橋市)建造の自動車運搬船へ搭載を完了、日本郵船株式会社(社長:長澤 仁志氏、本社:東京都千代田区)へ納入し、運航が開始されました。三菱造船は、FGSS納入後も同造船所ときめ細かい連携をはかり、各種調整・仕上げ作業を順調に消化することで、10月28日の同船引渡しに貢献することができました。

三菱造船は、この国内初の"LNG燃料で運航する自動車運搬船(以下、LNG燃料自動車船)"について、FGSSの納入だけでなく、LNG燃料化に伴うガスハンドリング関連周辺設備の設計を提供したほか、当該設備の搭載工事や同船におけるガステストの実施にあたり、LNG船での実績が豊富な当社技師を派遣することで同造船所のサポートを実施しました。10月に同船に対して行われた国内初のSTS方式(注1)によるLNG燃料供給の際にも技師を派遣しています。現在、LNG燃料自動車船2番船向けのFGSSも製造中であり、順調に実績を積み重ねています。

同船は、環境省ならびに国土交通省の「代替燃料活用による船舶からのCO2排出削減対策モデル事業」の対象となっており、実運航時の大幅なCO2排出削減技術の実証を行うことになります。FGSSは船の環境性能に大きく寄与し、2020年のSOx(硫黄酸化物)排出規制強化に対応するのみならず、運航において2025年に要求される国際海事機関(IMO)のEEDI規制(注2)Phase 3の基準値を大幅に上回る約40%のエネルギー効率(輸送単位あたりのCO2排出量)の改善が見込まれています。

FGSSは、三菱造船がLNG船の建造などで培ったLNGおよび気化ガスのハンドリング技術を活用して実現したシステムであり、陸上用のエンジン試験設備の納入実績を積み重ねた上で舶用に展開したものです。今回搭載されたFGSSは、LNG燃料タンク、ガス供給ユニットおよび制御装置などで構成されていますが、モジュール化に取り組み、カーゴスペースの最適設計および造船所での工程の短縮に寄与するほか、オペレーションニーズに合わせて制御システムなどをカスタマイズすることにより安全運航支援にも寄与しています。

三菱造船は、FGSSやガスハンドリングに関するエンジニアリングおよび技師派遣サービスの提供を通じて、各船主が保有する船舶の競争力や各造船所で建造が計画される船舶の付加価値を向上させるとともに、LNG燃料船普及の一助となることで、海上物流のさらなる発展と地球規模で増大している環境負荷の低減に貢献していきます。

  • 1STS方式:Ship to Ship方式。LNG燃料供給船・LNG燃料船間においてLNG燃料を移送することです。
  • 2EEDI規制は、船舶汚染防止国際条約1997年議定書(MARPOL条約付属書VI)の2013年改正に基づく船舶のエネルギー効率の規制です。EEDI(エネルギー効率設計指標)とは、1トンの貨物を1マイル運ぶのに必要なCO2のグラム数を示し、基準値(ベースライン)からの削減率が段階的に強化されるものです。自動車運搬船では、2015年(Phase1)に5%、2020年(Phase2)に15%、2025年(Phase3)に30%の削減が義務付けられています。
運航を開始したLNG燃料自動車船「SAKURA LEADER」
運航を開始したLNG燃料自動車船「SAKURA LEADER」
FGSSモジュール
FGSSモジュール

Tags: 船舶,脱炭素,カーボンニュートラル
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