当社長崎造船所香焼工場の活用策について
香焼工場は、同造船所立神地区の本工場(以下、立神工場)の造船事業を拡大するために、1972年(昭和47年)に大型タンカー(VLCC)の専用建造工場として建設され、その量産効果を発揮しました。その後、第二次オイルショックに伴う深刻な造船不況とその後の船舶需要の大きな山谷および台頭した韓国、中国及び国内競合先との競争の中で、タンカーからバルクキャリア、コンテナ船などの建造に移行し、近年においては主にLPG運搬船やLNG運搬船などのガス運搬船を連続建造すると共に、生産性向上のための設備投資や組織のスリム化、体制の構造改革など、可能な限りの改善強化策を講ずることで、大型船舶の主力工場として事業を40年余継続してきました。しかしながら、今後のガス運搬船等の長期的な市場及び競合環境を考えるに、同工場の在り方も含めたさらなる抜本的施策が必要との結論に至りました。
一方、長崎県において造船事業は関係する企業数も多く、地元への影響が大きいことから、当社グループとして立神工場の造船事業の強化策を推進するとともに、香焼工場の設備等の有効活用策を検討することが肝要であるとの認識のもと、大島造船所と協議を行い今回の合意に達した次第です。
当社グループは、今後とも比較優位性を維持し、当社が付加価値を高めることができる船舶に経営資源を集中することで造船事業を持続的に発展させていきます。そのために、エンジニアリング能力の強化、最新技術・差別化機器の開発、ビジネスモデルの多様化(ガス運搬船などの技術供与・支援、修繕事業の拡大)、立神工場及び下関造船所の工場設備の新鋭化などの施策を進めていく計画です。さらに国土交通省、長崎県、長崎市のご協力のもと進めている「長崎客船MRO(Maintenance, Repair and Operation:修理・整備)拠点化プロジェクト」を通じ、客船修繕・建造などにも取り組み、地域社会の発展に一層貢献をしていきます。