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2022年度の種子島アカウミガメ保全調査を完了 産卵目的の回帰周期などデータの蓄積を重ね、生態の解明につなげる

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◆ 8日間で27頭の親ガメと遭遇し計20回の産卵を確認、2015年の調査開始から通算196頭を識別
◆ 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から限定的に調査、回帰個体はこれまでで最多の8頭を確認

三菱重工グループは、2015年度からNPO法人アースウォッチ・ジャパン(東京都文京区)を通じ、国内第二の産卵地である鹿児島県種子島におけるアカウミガメ保全調査(注1)を支援しています。本調査は、絶滅が危惧されるアカウミガメが過去に産卵を目的に種子島へ来たことがあるかといった回帰性のほか、体の大きさや産卵成功率などを明らかにすることで、個体の保全や産卵地の環境健全化を図ることを目的に毎年実施しています。識別調査した個体数は2015年からの通算で196頭に上り、アカウミガメの生態を解明するための有益なデータとして活用されています。

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、本年度も2021年度と同様に社内・社外ボランティアスタッフの参加を見送り、研究者ならびに現地NPO法人Turtle Crewスタッフの計6名で限定的に調査を実施しました。島内の長浜海岸北部を4エリアに分け、6月下旬の8日間で夜間調査(注2)を行った結果、27頭の親ガメと遭遇し計20回の産卵を確認できました。このうち、昨年度までに種子島で既に識別され、産卵のために再び島を訪れた個体(回帰個体)は、これまでで最多の8頭でした。

また、本年度の調査でも、日中にドローンを使って上空から砂浜を広範囲に観察し、人力ではカバー仕切れないアカウミガメの足跡を発見したり、機器のGPS機能を活用して産卵位置を把握し、視界のない夜間に実施される現地調査との整合性を取るのに役立てました。来年度以降は、砂浜に加えて海上も撮影し、夜の産卵を控えて海面近くで待機するアカウミガメを視認することも検討しています。

調査の結果、本年度は調査個体の甲長が例年と比べて1.5cmほど大きかったことが分かりました。甲長の大きさは成長段階の餌条件を反映すると考えられており、本年度は東シナ海など高栄養な餌のある海域から来た個体の割合が高かった、個体数の減少などによって1個体あたりの餌量が増えていた、といった要因が考えられます。
また、これまでの調査の中で、隣の屋久島-種子島間など他地域との産卵個体の移動がそれほど多くはないことも見えてきました。種子島で産卵した親ガメの多くがまた種子島へ戻ってくるのであれば、識別した個体のうち、種子島への回帰個体が占める割合が全体の一割に満たないという調査結果は、未調査期間や未調査エリアがあることを考慮しても、アカウミガメが産卵後に別の場所で命を落としている可能性を強く示唆しています。

プロジェクトの主任研究者である日本ウミガメ協議会の松沢 慶将会長は「種子島での8年間の調査活動により、識別個体のデータも揃ってきたので、正確な回帰率を整理し、種子島を含め日本におけるアカウミガメの減少要因について究明したい。ただ、やはりデータが多いほど正確性が高まるため、来年はボランティアの力を借りた以前の規模の調査を再開して有意義なデータを取得し、アカウミガメの生態解明につなげたい。」と話しています。

三菱重工グループは、これからも地球環境および生物多様性の保全活動に継続して取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

  • 1三菱重工グループが支援する「種子島のアカウミガメ保全調査」について、詳しくは以下のURLをご参照ください。
    https://www.mhi.com/jp/sustainability/environment/biodiversity_turtle.html
  • 2アカウミガメは夜間に砂浜へ上陸して産卵するため、これに合わせて調査を行います。本年度は午後9時~翌午前2時にかけて、産卵確認のほか、個体識別用標識の装着や甲羅の計測作業を実施しました。

【関連リンク】

ドローンで砂浜を広範囲に調査

ドローンで砂浜を広範囲に調査

夜間調査前の機材の確認

夜間調査前の機材の確認

産卵に来たアカウミガメ(注3)

産卵に来たアカウミガメ(注3)

産み落とされた卵(注3)

産み落とされた卵(注3)

  • 3赤外線カメラで撮影

担当窓口:サステナビリティ推進室


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