ワンストップソリューションによるメリット
データセンターの安定稼働を支える電源供給、冷却システム、デジタルな統合制御システムといったインフラには、高い信頼性・恒常性はもちろんのこと、高出力化・高温化したGPU/CPUに対応できる冷却性能、環境負荷を低減する優れた省エネ性能が求められています。また、設置スペースの制限や使用目的、望ましい冷却方式などのニーズもお客様によってさまざまです。
三菱重工グループは、発電設備や冷却システム、制御システムにおいて高い技術と豊富な実績を有しており、それらをすべて統合できるエンジニアリングを強みとしています。自社の幅広い製品ラインナップから、お客様ごとに最適な組み合わせを提案することができ、ワンストップで提供することでお客様のシステムインテグレーションの負担も軽減。さらに、稼働までのリードタイムを短縮しつつ、グリーンでサステナブルなデータセンターを実現します。
電源システム:高い信頼性と脱炭素化の推進
膨大な量のデータを処理するための設備が並ぶデータセンターには、一にも二にも長期的な正常稼働の維持が求められ、そのためには、安定した電源システムが非常に重要です。加えて、消費電力のますますの増加が予測されるデータセンターにおいて、世界全体で取り組んでいる脱炭素化の推進は喫緊の課題となっています。
三菱重工グループは、発電・エンジン事業で数多くの高稼働率運用実績を有しており、データセンターにも信頼性の高い電源を供給しています。また、データセンターの規模に応じた脱炭素化ソリューションも取り揃えています。将来的には、開発中の水素ガスタービン(2025年に水素専焼を実現予定)や水素エンジンを用いた燃料転換によって、CO2排出量ゼロのエネルギー供給の実現を目指しています。
冷却システム:真新しさと実績を兼ね備えた多様なラインナップ
顧客ニーズに応える冷却システムを提供
データセンターの安定稼働に、冷却システムは欠かすことができません。一方で、高出力・高温化したAIチップGPU/CPUなどの出現により、サーバーの冷却には膨大な水と電力が消費されるようになっています。サステナブルなデータセンターを実現するためには、エネルギー効率を改善し、脱炭素化ニーズに応える冷却システムが不可欠です。
三菱重工グループは、電源システムとともに優れた冷却システムを提供できる、数少ない企業です。空気冷却における電力消費量を大幅に改善する、国内シェアNo.1のターボ冷凍機を始め、さまざまな製品と技術のインテグレーションにより顧客ニーズに応えるラインナップを取り揃え、データセンターにおける水・電力の消費量を改善し、持続可能なデータセンターを実現するとともに、サーバーの高密度化と低PUE(注1)*1(※)を可能にすることで、OPEX・CAPEXを削減し、お客様のキャッシュフローを改善します。
(注1)*1 PUE: Power Usage Effectiveness。データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割る事で求める。
次世代冷却システムの開発を推進
特に、生成AIで使用されるGPUの発熱など、空気冷却では冷却が追いつかないケースのために開発が進んでいるのが、次世代冷却システムです。実用化が進む液浸冷却システムは、試験運用においては従来型のデータセンターと比較してサーバー冷却における消費電力を94%削減できたケースもありました。また、保守性の点で上述の液浸冷却システムに勝る、二相式ダイレクトチップ冷却システムのパイオニアであるZutaCore社に出資し、同社の技術を販売する戦略的提携契約を結んでいます。
省エネ(電気&水)
- OPEX削減(PUE1.1以下)
- グリーン&サステナブルなブランドイメージ
- ESG投資、データセンターの差別化
高密度化・低PUE
- CAPEX削減 (フットプリントの低減)
- ITに使用できる電力を最大化
- ITサービス提供量を最大化
空冷では対応できないチップを冷却
- 高性能CPU/GPUを高密度で搭載
- 高付加価値なITサービスを提供
デジタルソリューション:高度な解析技術で運転条件を最適化
安定的な稼働が求められるデータセンターにおいて、電源システム・冷却システムのトラブルの予兆検知・予防は非常に重要です。また、脱炭素化につながる効率的な運用のためには、各機器の運転最適化が必要になります。
三菱重工グループは、発電所における運転の遠隔管理システム「TOMONI®」を提供するなど、幅広い事業領域で培ったデジタル技術を有し、また機械の特性を熟知していることにより、AIによる運転状態の可視化と予兆検知、的確な制御によるエネルギー効率の最適化が可能です。
具体的には、データセンター内の環境を計測し、空気の流れを調整して理想的な環境を整えたり、データセンター内の環境を予測する機械学習モデルを構築し、PUEが最小となるように空調機の運転条件を最適化するソリューションの開発を進めています。こういったソリューションの活用によって、トラブルを未然に防ぎ、信頼性の向上につなげるとともに、データセンターの消費電力量の削減、環境負荷の低減に寄与します。
エッジデータセンター:リアルタイムで高速処理を実現
IoTやAIの社会普及が加速する昨今、大量のデータを瞬時に処理するニーズが高まっています。例えば自動運転や遠隔医療の現場では、処理遅延が弱点となるクラウドに対し、データが発生する場所の近くでリアルタイムに高速・分散処理を行う「エッジコンピューティング」が注目されています。このエッジコンピューティングを行う現場の1つがエッジデータセンターです。
三菱重工グループは、エッジデータセンター向けに活用できるソリューションの開発も進めています。その1つが、2023年10月に発表したコンテナ型データセンターです。冷却方式の異なるサーバーを同時に搭載でき、エッジコンピューティングの多様性に幅広く対応。工場や防衛拠点、研究施設などで独立した運用が可能で、セキュリティの確保にも有効です。また、リードタイムが短く、設置したい場所に、設置したいタイミングで運搬して開設することができます。