液浸冷却設備により消費電力の94%削減を実証
KDDI社、三菱重工、NECネッツエスアイ社は、100kVA相当のサーバーなどのIT機器と液浸冷却装置をデータセンター内に収容し、試験運用する実証実験を実施しました。
最適化された外気空冷を行うフリークーリング装置を含む液浸冷却システムを開発し、サーバー冷却のために消費される電力の94%削減とPUE値1.05を実現。また、液浸冷却装置とフリークーリング装置に高い可用性を持たせ、データセンターとして最高品質であるティア4レベルの液浸データセンターでの実装設計を具現化し、安定稼働の成立性を立証しました。
全世界への販売実績と高い信頼性を誇る3,000kVA級発電装置の新モデルをデータセンターなどに向け展開
「MGS-R」シリーズは、三菱重工グループが設計から生産まで行い販売(注2)する、高い信頼性を誇る発電装置であり、全世界で累計12,000台以上の販売実績を誇っています。
(注2) エンジンメーカーである三菱重工エンジン&ターボチャージャ(MHIET)が発電装置をデサイン、アジア地域においてエンジン・発電設備の組立・販売を行うMitsubishi Heavy Industries Engine System AsiaとMHI Engine System Vietnamが生産しています。
2023年に販売開始した「MGS3100R」は、高出力な非常用発電装置のニーズに応える、シリーズ最大の高出力モデルです。トップレベルの省スペース性を実現し、設置性の向上に貢献します。発電装置に対する動特性のISO規格で最高水準に当たるClass G3(ISO8528-5)、全米防災協会が定める発電装置の始動性能に関する基準であるNFPA110で規定されている10秒での急速始動に対応。データセンター事業者をはじめ、各規格に準拠した性能・品質基準を満たしています。
コンテナ型データセンターの試験運用で省電力を実証
2021年、KDDI社、三菱重工、NECネッツエスアイ社は、50kVA相当のサーバーなどのIT機器と液浸冷却装置を12ftのコンテナに収容し、稼働させる実証を実施。従来型のデータセンターと比較して43%の消費電力削減と、PUE1.07のコンテナ型スモールデータセンターを実現しました。
コンテナ型データセンターのメリットは、リードタイムが短縮される点にあります。設置が容易なコンテナ型スモールデータセンターを実現することで、データセンターの設置環境や条件を大きく緩和し、さまざまな場所で柔軟な環境構築が可能になります。
冷却エネルギーを92%減、既存施設にも導入可能なラック型液浸冷却システム
データセンターに求められる顧客ニーズが複雑化する中、同一ラックのユニット単位で仕様の異なる機器が多数搭載されるなど、ラック提供サービスへの需要も多様化しています。三菱重工は、既存のデータセンターにも液浸冷却装置を導入しやすい「ラック型液浸冷却システム」を開発しました。
本システムの導入単位は19インチラック単位としており、既存データセンターの構築、運用と大きな相違なく導入が可能です。また、ユニット単位での運用保守、空冷システムと液浸冷却システムを並べるハイブリッド運用が可能で、余分な配線コストや管理工数を削減。さらに、機器の設置や取り外しに要する時間がそれぞれ5分以内であるなど、メンテナンス性に優れます。
NTTデータ社のデータセンターにて実施された本システムの実機検証では、従来のタンク型液浸冷却システムと比べ、冷却にかかるエネルギーを92%削減。タンク方式の課題である運用性も173%向上したことが確認できました。