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世界最大の排気速度を実現
デジタル制御磁気軸受型ターボ分子ポンプ、大型FPD向け

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 三菱重工業株式会社と株式会社アルバック(神奈川県茅ヶ崎市萩園2500、社長 中村久三)は、世界最大の排気速度※1を持つデジタル制御磁気軸受型ターボ分子ポンプ※2を5月より発売する。パソコンやテレビの画面に用いるフラットパネル・ディスプレイ(FPD)の薄膜製造に必要な真空状態をつくり出すポンプで、両社は急成長する大型FPD市場向けに初年度合わせて100台の売上を見込んでいる。

 このデジタル制御磁気軸受型ターボ分子ポンプは、1秒当たり最大、窒素で6300リットル、水素で5000リットルの気体分子を排気し、真空状態をつくる。これにより従来の同タイプ最大クラス比で約1.5倍の排気速度を実現した。薄膜を製造するための大型蒸着装置向けに適した排気特性を持ち、分子量の重い窒素だけでなく、軽い水素の排気速度を同時に高めているのが特徴。

 また、毎秒4000リットル※3以上の大型クラスでは、世界で初めて装置側の状況に応じたポンプの横付けや倒立付けなどを可能にした。

 この市場は現在、毎秒3000リットルクラスが主流だが、本ポンプは1台でこのクラス2台分の排気量を達成、FPD向け大型蒸着装置へのターボ分子ポンプの搭載台数の半減を実現した。また、バルブ・配管など周辺機器の削減をはかる一方、ターボ分子ポンプの背圧特性を高めて、後段の粗引きポンプ※4を1/2程度まで小型化することを可能とした※5。それらにより、ランニングコストを含めた装置排気系のトータルコストを削減するとともに、設置面積も3000リットルクラス 2台分に対し約2割コンパクト化している。

 本ポンプは、アルバックのコンセプトに基づき、三菱重工が開発したもので両社それぞれのブランドで販売する。なお、アルバックは、4月7日(水)から9日(金)まで東京ビッグサイトで開催される0SEMI FPD EXPO Japan20040にパネル展示する。

※1 薄膜の蒸着に適した真空状態をつくるため、蒸着装置内に存在する窒素や水素などの分子を真空ポンプを用いて排気させる必要がある。今までの業界最大排気速度は、窒素で4200リットル。
※2 アルミ製の翼を高速回転させ、窒素や水素などの空気分子を弾き飛ばすことによ り排気する真空ポンプ。FPDの薄膜生成にあたって、必要な真空空間をつくり出す。
※3 窒素での場合
※4 ターボ分子ポンプの運転が可能となる低真空領域を作り出すためのポンプ
※5 外部への排気は、大気圧との関係から通常、粗引き(補助)ポンプの力を借りて行うが、今回は、本体ポンプの排気能力を高めたことで、バルブ・周辺機器の削減や、粗引きポンプの小型化を実現している。

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