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2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、電力分野での脱炭素化に加えて、製鉄、運輸等の分野での脱炭素化が必要となります。その実現に向けて、水素エネルギーの利活用が期待されており、グリーン成長戦略において水素製造に係る要素技術を確立することが示されました。
今般、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)と三菱重工業株式会社(以下「三菱重工」という。)は、その最初のステップとして、経済産業省資源エネルギー庁の委託事業「超高温を利用した水素大量製造技術実証事業」を受託し、HTTR(高温工学試験研究炉(高温ガス炉))による水素製造事業を今年度より開始しました。本事業では、原子力機構が有するHTTRに水素製造施設を新たに接続し、HTTRから得られる高温熱を活用した水素製造技術の確証を行う計画で、水素製造施設と接続するための改造内容の具体化、許認可手続、設備改造及び試験を段階的に実施して参ります。また、将来の高温ガス炉実証炉における水素製造技術の高度化に向けて、大量の水素製造に対応可能とするための一部機器(高温隔離弁等)の大型化検討、高温ガス炉と組み合わせるカーボンフリー水素製造技術の調査も行います。
原子力機構と三菱重工は、本事業を通して、高温ガス炉等の超高温熱を利用した水素製造技術を確証し、大量かつ安定的なカーボンフリー水素製造の実現につなげていきます。
(補足説明)
製造から使用までの全工程において二酸化炭素を排出しないカーボンフリー水素の低コスト化に向けた動きが世界において加速している中、「エネルギー基本計画」(2021年10月閣議決定)では、高温ガス炉における水素製造に係る要素技術確立等を進める方針としています。また、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(2021年6月策定)においても、世界最高温度を記録した研究炉HTTRを活用し、2030年までに大量かつ安価なカーボンフリー水素製造に必要な技術開発をする方針としています。
これら国の方針に基づき、2022年2月8日に経済産業省資源エネルギー庁は「超高温を利用した水素大量製造技術実証事業」の公募を開始し、HTTRを用いた試験実施が可能な原子力機構と高温ガス炉を活用した水素製造について技術検討を実施している三菱重工のコンソーシアムを当該事業の受託者として選定しました。
本事業の第一段階として、令和4年度は、HTTRと水素製造プラントを接続したHTTR-水素製造試験施設の設計や実証炉を見据えた高温隔離弁等の機器の開発計画検討を行います。また、高温ガス炉の高温熱を利用可能なカーボンフリー水素製造技術を調査し、各々の技術の比較を通じて水素製造効率の向上が期待できる水素製造法を検討します。
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