Press Information

MHIET相模原工場内の水素専焼エンジン発電セット実証設備および水素供給設備が完成
水素専焼エンジンの製品化に向け、実証設備の試験運転を開始

Print

◆ 健全性確認のための試験運転後、今年度中に水素100%を用いた実証運転を実施予定
◆ 一連の試験で、6気筒500kWクラス水素専焼エンジンの燃焼安定性や発電セットに求められる安全性評価などを実施

水素専焼エンジン発電セット実証設備

水素専焼エンジン発電セット実証設備

6気筒500kWクラス水素専焼エンジン(試験機)、水素エンジン発電セット(試験機)

三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社(MHIET、社長:古殿 通義、本社:相模原市中央区)は、三菱重工グループの2040年のネットゼロ達成を掲げた「MISSION NET ZERO」を実現する製品開発の1つである、水素エンジンの製品化に取り組んでいます。

これまでにMHIETは、レシプロガスエンジン「GS6R2~GS16R2」シリーズを改良した単気筒エンジン(ピストン径170mm × ストローク220mm)を、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)福島再生可能エネルギー研究所(福島県郡山市)に設置し、水素100%で安定燃焼できる技術を確立しています。

このたび、製品化に向けた次の段階として、新たに開発した6気筒の500kWクラス水素専焼エンジンを搭載した発電セット(注1)の実証設備と、水素トレーラーで搬入する高圧水素ガスを減圧して発電セットに供給する水素供給設備が完成し、健全性確認のための試験運転を開始しました。都市ガスを用いた確認運転から開始し、今年度中に水素専焼の100%負荷運転における安定燃焼の確認を目指します。

一連の実証試験では、新たに設計した水素100%を燃料とする6気筒水素専焼エンジンの燃焼安定性、性能、信頼性などの検証に加え、水素の特徴(注2)を考慮し、発電セットとして求められる安全性評価や性能検証を実施します。なお、本実証試験では、再生可能エネルギー由来の電力を利用し、製造過程においてCO2を排出しないグリーン水素を燃料として使用することも計画しています。

MHIETは、水素専焼エンジンの開発から設計、製作、実証に至るまでの開発サイクルを自社工場内で一貫して構築したことで、実証試験で得た結果を迅速に製品化に向けたプロセスに反映できます。一連の実証試験を通じて、2026年度以降の製品化に向けたプロセスを加速していきます。

レシプロエンジンは、低・脱炭素社会の実現に向けた燃料転換(エナジートランジション)においても、その機構上、さまざまな燃料を燃焼させることができ、中でも水素専焼エンジンを用いた発電セットは、純水素を燃料とすることで、燃料消費によるCO2を排出することなく、分散型電源の脱炭素化に貢献します。MHIETは実証試験を通じて、水素利用拡大による脱炭素社会実現を目指します。

  • 1エンジンの出力軸に発電機を組付けた発電装置と、発電装置を運転するために必要な付帯設備(燃料ガス、潤滑油、冷却水、吸排気などの配管系統および発電機制御盤)、発電装置や付帯設備を格納し保護するエンクロージャを含む、水素ガスエンジンを用いて発電するために必要な装置一式を指します。
  • 2水素ガスは従来燃料の都市ガスと比較し、燃焼性が高く静電気程度のエネルギーで着火し燃焼範囲も広い特徴があります。さらに分子が小さく漏れやすい特徴もあるため、発電セットには水素ガスを漏らさないこと、漏れても検知し安全に停止させること、漏れても上方に滞留蓄積しないことなどの安全対策が求められます。

【参考】三菱重工エンジン&ターボチャージャの水素利用に向けた取り組み

1. 単気筒エンジンでの水素100%安定燃焼

「MHIETが純水素を燃料とした水素エンジンの燃焼試験を実施
産総研と共同で脱炭素・水素化社会を見据え、水素100%の安定燃焼を実現へ」


MHIET製の4ストロークレシプロガスエンジン「GS6R2~GS16R2」シリーズを改良した単気筒エンジン(ピストン径170mm × ストローク220mm)を国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)福島再生可能エネルギー研究所(福島県郡山市)に設置。産総研との共同研究により、水素エンジンの運転試験を実施し、水素100%の安定燃焼を実現。

2. コージェネレーションシステム用ガスエンジン商品機での都市ガス・水素混焼の試験運転

「コージェネレーションシステム用ガスエンジン商品機で都市ガス・水素混焼の試験運転に成功 ~水素混焼率35%での定格運転は国内初~」

東邦ガス株式会社とMHIETは、定格発電出力:水素混焼率35%(体積比)での試験運転に国内で初成功。MHIET製ガスエンジン商品機を用いて、東邦ガス技術研究所(愛知県東海市)にて実施。

3. 5.75MW発電用ガスエンジンでの水素混焼率50%までの安定燃焼

「MHIET、5.75MW発電用ガスエンジンの単筒試験機で水素混焼率50%までの安定燃焼を実現」

幅広い産業界でコージェネレーションシステムとして使用されるKUガスエンジン(3.65~5.75MW)の低炭素化を実現するために実施した実証試験において、5.75MW発電用ガスエンジンの単筒試験機での水素混焼試験を実施し、定格相当出力において水素混焼率50%(体積比)までの安定燃焼を確認。


Tags: カーボンニュートラル,エナジートランジション,水素,エンジン
mission_net_zero

三菱重工グループについて

三菱重工グループは、エンジニアリングとものづくりのグローバルリーダーとして、 1884年の創立以来、 社会課題に真摯に向き合い、人々の暮らしを支えてきました。
長い歴史の中で培われた高い技術力に最先端の知見を取り入れ、カーボンニュートラル社会の実現 に向けたエナジートランジション、 社会インフラのスマート化、サイバー・セキュリティ分野 の発展に取り組み、 人々の豊かな暮らしを実現します。

詳しくは: