高速炉
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高速炉は、ウラン資源の有効活用と高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減に寄与する原子炉です

高速炉とは、高速の中性子(エネルギーの高い中性子)による核分裂反応から熱を取り出す原子炉のことです。なお、軽水炉とは異なり冷却材として中性子を減速しにくいナトリウムなどの液体金属が主に使われます。

軽水炉での発電を終え、使い終った燃料の中には、再利用できるウランやプルトニウムといった資源が含まれています。これらを回収して再処理することにより、再び燃料として利用し、長期にわたるエネルギーの安定供給に役立てることができます(この一連の流れを燃料サイクルといいます)。

再処理した燃料を軽水炉で使用する場合(軽水炉プルサーマル)、次第に「燃えにくいプルトニウム(高次化プルトニウム)」が増加するため、燃料として再利用できるのは数回程度です。

一方で、高速炉は燃えにくいプルトニウムも燃やすことが可能であり、資源の有効利用において極めて重要な役割を果たすことが可能です。

また、高速炉は核燃料サイクルによる高レベル放射性廃棄物の減容化や有害度の低減、資源の有効利用の効果を更に高めることが期待されています。

三菱重工と三菱FBRシステムズは、高速炉開発の中核企業として、実証炉開発を主導し、高速炉の実用化に貢献していきます。

プルサーマルで生じる高次化Pu(燃えないPu)の
燃焼効果

プルサーマルで生じる高次化Pu(燃えないPu)の燃焼効果

高レベル放射性廃棄物の減容化/有害度低減効果

高レベル放射性廃棄物の減容化/有害度低減効果

高速炉開発の歴史

実験炉「常陽」

実験炉「常陽」

日本では、国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構殿(旧 動力炉・核燃料開発事業団)によって、まず高速増殖実験炉「常陽」が建設されました。これは、発電設備を持たない原子炉で、高速増殖炉の技術的経験を蓄積することを目的として1977年から運転を行っています。当社は、炉心設計並びに回転プラグ、中間熱交換器、二次主冷却系設備の製作を担当。更に、当初は50MWであった設備を100MWへ、更には140MWに出力を増強するMk-III改造工事にも積極的に参画しました。

原型炉「もんじゅ」

原型炉「もんじゅ」

「常陽」に引き続き、国家プロジェクトとして高速増殖原型炉「もんじゅ」が建設されています。これは、その設計・建設・運転の経験を通じて発電プラントと しての性能および信頼性を技術的に確認すると共にナトリウム取り扱い技術を確立することを目的としています。1995年12月に二次主冷却系でナトリウム 漏えい事故が発生したため運転を停止し、2016年12月に廃炉が決定されました。

「もんじゅ」の原子炉容器現地据付
「もんじゅ」の蒸気発生器
−蒸発器の管束部ブロック−
「もんじゅ」の炉内構造
−炉心支持板および連結管−

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三菱重工グループの実績