両社の強みを合わせ、脱炭素ソリューションを提供

脱炭素ソリューションを提供

CROSS BORDER
両社の強みを合わせ、脱炭素ソリューションを提供

Turboden
三菱重工コンプレッサ株式会社(MCO)
欧州・中東・アフリカ三菱重工業株式会社(MHI-EMEA)


大型ヒートポンプ技術で、製紙業界を初めとする産業界のエナジートランジションに貢献

近年、電気やガスといったエネルギー価格も高騰する中、工場などで発生した低温の熱を集めて効果的に昇温するヒートポンプが、CO2排出を減らす環境に優しい技術としてますます注目を集めています。

これを受けて、Turbodenは大型ヒートポンプ製品の強化を計画。実績ある三菱重工コンプレッサ(MCO)のコンプレッサを採用するとともに、両社の強みを生かした熱供給ソリューションシステムを開発しました。そしてこの度、欧州の大手製紙会社が北欧で進める大規模プロジェクト向けの案件を受注、産業界向け大型ヒートポンプ市場への足掛かりをつくることができました。

市場調査に基づく予測では、大型ヒートポンプの市場規模は2030年までに15~35億ユーロに伸びるなど、今後も成長が予想されています。当社グループはこの受注案件を成功させることで、製品ポートフォリオの多様化によりビジネスチャンスを掴むとともに、産業界の脱炭素に貢献していきます。

お客様の要望を実現させた2つのイノベーション

1,運転効率の維持と耐久性を両立するシステム
本プロジェクトにおけるお客さまのご要望として、製紙工程で利用される5~30℃の冷却水から170℃の熱を生み出すという140~165℃の温度リフト(注1)に対応する必要がありました。これは、Turbodenが開発中の大型ヒートポンプ(最大約100℃)の温度リフトをはるかに上回る値です。これを実現するため、大型ヒートポンプと自己蒸気機械圧縮型蒸発装置を直列に接続する方法を新たに採用。その結果、ヒートポンプ運転効率の維持と温度リフトへの耐久性の両立が可能となりました。
2,蒸気を提供するため、ORCで培った有機流体のノウハウを活用
ヒートポンプは通常、蒸気ではなく温水を供給する技術です。一方、本プロジェクトにおけるお客さまのもう一つのご要望として、蒸気の供給がありました。そこでTurbodenは、同社の得意分野であるORC(注2)の技術開発で培った有機流体の知識を活かし、炭化水素やその他原料を反応させることで蒸気を生成することに成功しました。
  • 1ヒートポンプが汲み上げる温度差
  • 2Organic Rankine Cycle(有機ランキンサイクル)
Turbodenのメンバー(David Danesiさん、Paolo Belottiさん、Emanuele Zattoniさん、Matteo Simoniさん、Matteo DeLucchiさん、Antoine Guittonさん)
Turbodenのメンバー(David Danesiさん、Paolo Belottiさん、Emanuele Zattoniさん、Matteo Simoniさん、Matteo DeLucchiさん、Antoine Guittonさん)

プロジェクトメンバーより

Turboden
市場参入への道を切り開く

Emanuele Pingaroさん

営業担当
Emanuele Pingaroさん

私たちは、営業チームと一丸となってお客さまのニーズと期待に応える最適な方法を検討してきました。この度、お客様から革新的な脱炭素化プロジェクトのパートナーとして当社が選ばれたことをうれしく思っています。これにより、製紙を初め石油化学、医薬品、食品・飲料といった様々な業種における生産工程の脱炭素化という最先端技術を武器として大型ヒートポンプ市場に参入する道が開けました。当社の技術はまだ市場に出ておらず達成すべき目標も決して容易ではありませんが、これまでの全ての努力を結実させるために取り組んでいきます。

プロジェクトメンバーより

Turboden
「技術を組み合わせ、お客様の希望に応える」

David Danesiさん

プロジェクトマネージャー
David Danesiさん

産業用大型ヒートポンプ向けコンプレッサの導入は当社初の試みであり、他の産業分野にとっても熱利用の電化への適用の道が開けたと確信しています。今回のプロジェクトは三菱重工グループのシナジーが発揮された好例であり、MCOの技術を組み合わせることでお客様に独自の解決策を提供できることが実証できました。このようなプロジェクトに関われたことを大変光栄に思いますし、MCOの同僚4人で業務に取り組む貴重な機会を得ることができたと実感しています。

海外営業担当より

Mitsubishi_Heavy_Industries_EMEA, Ltd.
「新市場への参入が新たな知見に」

遠藤 正章さん

遠藤 正章さん

本プロジェクトは、MCOが欧州の産業分野におけるヒートポンプ市場へ参入する上で重要な案件でした。お客様からの価格・納期・技術要求が厳しい中でも受注につなげるべく、技術はもちろん、コスト低減や、スコープ変更による納期短縮に向けたアイデアをお互いに出し合い議論を重ねました。特にLTSA(注)は、消耗品の少ないコンプレッサではなじみの薄い考え方であり、お客様への提案前にコンプレッサ機器のメンテナンスといったアフターサービスの考え方をTurbodenに十分に理解してもらう必要がありました。MHIシナジーを意識してTurbodenと一緒に取り組んだ結果、最終的にお客様の要求を満たすことができ今回の受注につながりました。また、産業用分野におけるヒートポンプ市場へ進出するにあたり、私たちもLTSAの考え方や注意すべき点など多くのことを学ぶことができました。今後も大型ヒートポンプの商談が計画されています。今回受注した案件を滞りなく遂行し、次の受注へとつなげていきます。

  • Long Term Service Agreement(長期保守契約)

営業担当より

三菱重工コンプレッサ株式会社
「知見と技術を持ち寄り、プロジェクトを成功に導く」

木下 卓也さん

事業推進センター
マーケットグループ

木下 卓也さん

本プロジェクトは、MCOとTurbodenにとって大型ヒートポンプ市場に参入すための橋頭堡として重要な工事であるため、信頼性が高く実績のあるコンプレッサを応札しました。Turbodenとの協業は初めてでしたが、お互いに良い関係を築き、刺激を与え合う事が出来たと思います。仕様を詰めていく過程では両社の知見や経験・技術を持ち寄り、何か課題が見つかればWebミーティングで忌憚なく議論を交わして問題解決の方法を模索し、競争力のあるオファーをどのようにして実現していくか議論を積み重ねました。今後もエネルギー有効活用の観点から、ヒートポンプ市場はさらに成長していくことが期待されていますので、Turbodenと密に連携し、エナジートランジションに貢献していきます。