自らチャレンジする企業文化を育むために

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自らチャレンジする企業文化を育むために
三菱重工コンプレッサ株式会社(MCO)
Mitsubishi Heavy Industries Compressor International Corporation(MCO-I)
三原地区有志
風土改善活動「BAMBI」を通じて、意識とチームワークを醸成
業務の効率化や他部門とのコミュニケーションの壁の解消、ワークライフバランスの実現など、「他の会社ができているのに、自分たちができないのはなぜだろう?」と思うことはありませんか? 今回は、セミナーやイベントなどを通じて行動を起こすきっかけをつくりながら、MCOの会社全体の雰囲気を変えていこうと取り組む有志の活動「BAMBI」を紹介します。
BAMBIとは
社外に出向して他社の技術や働き方に触れたメンバーが発起人となり、新しいことにチャレンジできる文化を作るためにMCOで進められている取り組みです。一人ひとりが現状を変え、自律して動くための後押しとなることを目指して、主に昼休みに、講演会や座談会、ワークショップなど多種多様な催しを企画・運営しています。
BAMBIスタートまでの道のり
BAMBIの発起人は、2012年にMCOへエンジニアとして入社した尺田将喜(しゃくだ・まさき)さん、昌子佳晃(しょうじ・よしあき)さん、吉原大志(よしはら・たいし)さんの3人です。社外に出向して他社の技術や働き方に触れた際、その見方の違いに衝撃を受けたことがきっかけで、「このままではMCOは競争に敗れてしまうのでは?」との危機感を持っていたという昌子さん、同じ会社でも部・課が違うとよそよそしいやり取りが増える社内文化が気になり、もっと楽しく働きたいと思っていた尺田さん、転職していく同期が増え、仲間を失う状況に自分たちにできることがないだろうかと考えていた吉原さん、誰もがぼんやりと抱く「会社がなくなったらどうしよう」「このままでいいのだろうか」との自分の将来や人生設計への不安。30代になって仕事にも慣れてきたころ、3人は「現実に不満を言うのではなく、自らで行動を起こしてより良い会社にしていければ」と、それぞれが子どもたちを寝かしつけた深夜に、社宅の公園に集まって理想を語り合い、吉原さんが声をかけて活動がスタートすることになりました。
「もっと合理的な仕組みがあればいいのに」「もっとお客さんの役に立てたらいいのに」「もっと家庭の時間を大切にできたらいいのに」「もっと社内で気軽にコミュニケーションを取れたらいいのに」「もっと古くさい体質から脱却できたらいいのに」――。「不満や不安を取り除き、『もっと○○だったらいいのに」を実現できれば、MCOは今よりもっと働きやすい良い会社になる」との思いで企画を立ち上げた3人は、2020年9月に若手交流会として活動をスタート。2022年4月には星社長にプレゼンテーションし、以降会社の公認も得て、活動を継続しています。
なぜ「BAMBI」?

名称の由来は、活動を通じて成し遂げたい姿を表した日本語のメッセージ、「志を高く」、「自発的に取り組み」、「感謝の気持ちを忘れない」の頭文字「こ・じ・か」を英語にしたもの。従業員一人ひとりはもちろん、組織としても成長していくことを願ってつけられました。
BAMBIの目標
活動のビジョンは「見えないカベのトビラになる」。さまざまな困難や障害は、時に壁となって私たちの前に立ちはだかりますが、BAMBIでは、壁をなくしたり壊したりするのではなく、通り抜けるための「トビラ」になろうと提唱します。「壁をなくそうと壊しにかかるのは相当な困難が伴い、できない可能性も高いが、通り抜けてしまう「トビラ」には、頑張ればなれるのではないか?」。心理的な負担を減らし、気軽に、だれでも挑戦しやすい風土を作ろうというメッセージが込められているのです。
活動の一例

パネルディスカッション「これからの時代を生き抜く学び」。“学び”への関心と意欲の向上とMBA取得への支援プログラムのPRも兼ねて、社内のMBAホルダーや通学中の方に集まってもらってパネルディスカッションを実施。働きながら学び続ける意義やモチベーションの維持などをシェアしました


発足メンバーより
交流の輪が広がる中で、活動の手応えを感じる

MCO 技術センター
空間エンジニアリング課
尺田 将喜さん
活動開始以来、良い反応を得ながら継続できています。イベント開催を通じて参加者間のコミュニケーションが生まれ、人間関係の幅やネットワークが広がるのを感じていて、壁を突き抜ける行動の起点になる人が増えてくれるとうれしいです。私自身、同期や同僚に限らず、部門間の壁を越えて多くの人とつながり、接しているうちに、知らなかった他部門の苦労や悩みも共有することができました。現場レベルがつながることで日常の仕事のやり取りがスムーズになって働きやすさを実感しますし、部門間を貫くヨコ串を差すことが無駄のない仕事につながり、トータルのバリューを高めているとの手ごたえもあります。
発足メンバーより
一人ひとりがのびのびと働ける環境を目指して

MCO-I Manufacturing Operations
吉原 大志さん
「力を持て余したり、モヤモヤしたりしている人がのびのび輝く場所を作りたい」「受け身ではなく自発的に動く人が増えればやりがいを持って働ける、よりよい場の実現につながるはず」との思いから活動を始めました。現在は米国・ヒューストンのMCO-Iに勤務していますが、オンラインイベントなどは米国からも参加しています。米国企業との働き方や考え方の違いには発見が多いので、積極的に皆にシェアしています。部門の壁を越えた交流で、直接他部門のトップや若手が世代を超えて交わり、考えを知り、つながることで価値を共有すれば、会社の雰囲気はきっと良くなります。交流によってコミュニケーションの幅や人脈が広がれば、それは目に見えて手に入る相当な価値だと思います。活動の広がりがMCOや三菱重工グループのイメージアップにつながり、海外へも広がっていけばいいなと思っています。
発足メンバーより
さらなる拡大、飛躍に期待!

成長推進室 事業開発部
昌子 佳晃さん
MCOでは設計業務を務めたほか、社外出向の経験を経て、2023年からMHI成長推進室(東京)に異動したあとも関わりを続けています。さまざまな壁の存在をきっかけに始まったBAMBIの活動ですが、本来、壁を意識しなくても良い世界が理想であり、そう思う人が増えていけばうれしいです。予算がない有志の活動だからこそ、自由に、自発的にできる仲間が増えないと続いていきません。立ち上げるよりも継続・進化することの難しさを感じていますが、社長や先輩方の支持をいただき、共感した後輩たちが加わってくれて、今では20代メンバーも会の運営を担ってくれています。私たちの活動の様子は、就職活動中の学生にも広く伝わっていて、反応も上々です。
その挑戦は既に広島を飛び出して広がっています。三原地区の同様の活動「BEACH」とは頻繁に連絡を取り合っており、9月には三菱航空機株式会社に在籍した経験を持つメンバーが参加するGlobal Team Buildingワークショップを共催し、グローバル環境で働き、成長した経験をシェアする機会を企画中とのこと。活動は会社や地域間の壁を通り抜け、ますます拡大を続けています。人と人がつながることで、自分ひとりではできなかったことが、実現できる場になるように。MCOに関わる一人でも多くの人が幸せを感じられるような、これからの未来に残す価値のある会社を一緒に創っていきたい。そんな思いで始まった、見えないカベの「トビラ」づくりはまだ始まったばかりですが、活動が広がりを見せ、その思いは今も大きく成長しています。