三菱重工グループは、社会課題の解決を通じて企業価値を向上させ、中長期的に成長していくために、当社グループが取り組んでいくべき重要課題(マテリアリティ)を2020年に特定しました。事業を通じてSDGsへ貢献している事例をご紹介します。
脱炭素社会に向けたエネルギー課題の解決
人々の安定した生活や公共サービスに、エネルギーの存在は欠かせません。今後も人口増加が見込まれる開発途上国では、未だに約10億人もの人々が電力にアクセスできない生活をしています。気候変動の影響が深刻化する中で、温室効果ガスの排出を実質ゼロとする脱炭素社会の実現が求められています。持続的な発展のためにも、環境に配慮し、安定した電力の供給が求められています。
目標7:ガスタービン
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当社グループは発電システムの提供を通じて、生活に欠かせない電力インフラを支えています。
特に、天然ガスを主な燃料とする大型ガスタービンの開発で世界をリードしており、最新鋭のガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた複合発電方式(ガスタービン・コンバインドサイクル発電)において、世界最高水準の発電効率64%超えを達成。従来型の石炭火力発電に比べ、CO2排出量を約65%削減することができます。
限りある資源を有効に活用することにより、環境にやさしく、経済性に優れ、安定したエネルギーの供給に貢献しています。
目標12:有機ランキンサイクル(Organic Rankine Cycle:ORC)
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有機ランキンサイクルは、中低温の熱源で効率的な発電が出来る技術で、従来は大気中に熱として捨てられていたエネルギーを有効利用することが可能です。
水よりも低い温度で蒸発する低沸点媒体を利用してタービンを回転させ、発電する仕組みです。排熱を利用すれば、温室効果ガスの排出を抑えつつ、より多くのエネルギーを取り出すことが出来ます。
当社グループの伊ターボデン社が手掛けるORCシステムは、地熱発電、ごみ発電、バイオマス発電などの様々な熱源に適用が可能で、これまでに累計49カ国、400以上のプラントに機器を供給しています。
目標13:水素ガスタービン
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当社グループは、燃焼時にCO2を発生しない水素を燃料として活用する水素発電の実現に取り組んでいます。
1970年代から水素を多く含む燃料に対応したガスタービンの実績を有し、小型から大型まで幅広いラインアップで、水素発電が可能です。最新鋭の大型ガスタービンにおいては、2018年に水素混焼技術の開発に成功。(天然ガス70%、水素30%)2025年には水素専焼技術の開発完了を目指しています。
また、オランダでは、当社納入のガスタービン・コンバインドサイクル発電プラント一系列(44万kW)を100%水素発電に切り替えるプロジェクトに参画しており、年間130万トンのCO2排出を削減できる見込みです。