主要技術・製品ラインアップ
三菱重工グループは、CCUSバリューチェーンに欠かせない回収、輸送、圧縮などの技術を保有しています。
CCUSバリューチェーンの構築のために、最新鋭のCO₂回収技術、大型CO₂回収プラント・中小型CO₂回収装置「CO₂MPACT™シリーズ」、液化CO₂(LCO₂)輸送船、コンプレッサなど、CCUSに関連した製品ラインアップを拡充すると共に、市場の拡大に伴い必要となるLCO₂輸送船の大型化やCO₂圧縮分野等で、さらなる技術の活用も進めています。

多様な排ガス源からのCO₂を経済的に高効率で回収する技術
三菱重工グループは CO₂ 回収技術を 30 年以上研究開発しています。中でも「KM CDR Process™」は、多様な排ガスおよび小型から大型プラントまでの幅広い回収量に対応できるCO₂回収技術です。1990年より関西電力株式会社と共同でCO₂回収技術の研究開発を開始し、1999年にアミン吸収液「KS-1™」を用いた商用機第1号を納入。それ以降、現在では世界18基の納入実績があり(2024年9月現在)、世界トップシェアを誇っています。本技術では、対象ガスに含まれるCO₂を90%以上回収(純度99.9vol%以上)することができます。加えて、独自の省エネ再生システムによって蒸気消費量の低減を実現しています。

また、更なる省エネルギー性能、運用コスト低減、環境負荷低減などのニーズに応えるために、関西電力株式会社と共同で新吸収液「KS-21™」およびKS-21™を採用した最新鋭のCO₂回収プロセス「Advanced KM CDR Process™」を開発。
さらに、産業分野など比較的小規模な施設におけるCO₂排出量削減のニーズに応えるため、より身近に、手軽に導入いただけるように中・小型CO₂回収装置「CO₂MPACT™シリーズ」を展開しています。


お客さまのニーズに沿ったCO₂回収、輸送、貯留を実現するコンプレッサ
ガスインジェクション用のコンプレッサは、石油・天然ガスの井戸元地中深くに高圧のガスを送り込むために用いられる高圧・高密度ガスを取り扱う圧縮機です。三菱重工グループでは各産業設備から排出されるCO₂の回収設備や回収したCO₂のパイプライン輸送、貯留などの用途に合わせたコンプレッサの提供が可能であり、これまでに長時間の運転実績を有しています。

脱炭素社会実現に向けた船舶によるCO₂輸送
液化CO₂輸送船(LCO₂輸送船;Liquefied CO₂ Carrier)は低温かつ圧力の高い状態で液化されたCO₂ガスを貯留および利用する拠点まで効率よく海上輸送することを目的とした専用の船舶です。発電所や製鉄所、化学プラントなどから排出、回収されたCO₂を貯留地点まで安全かつ経済的に輸送します。


三菱重工グループは1857年から造船事業を開始し、LNG輸送船、LPG輸送船といった液化ガス輸送船の豊富な設計・建造実績を有しており、それらで培った造船技術や、輸送技術、船舶における超低温液化ガスハンドリング技術などをLCO₂輸送船に活用します。
デジタルプラットフォーム:CO₂NNEX
三菱重工はCO₂流通を可視化するデジタルプラットフォーム「CO2NNEX®」の構築に取り組み、カーボンニュートラル社会の実現に向けた挑戦を加速させていきます。CO₂の証跡(トレーサビリティ)管理、CO₂に付随する環境価値(注)の管理・移転、CO₂流通の可視化・整流化、CO₂供給者(エミッター)と利用者の効率的なマッチング・需給バランスの調整等を、デジタルレイヤーとフィジカルレイヤー両面の連携を図りつつ提供することで、CCUSバリューチェーン全体の最適化とCO₂流通量の最大化を実現していきます。
(注1) 環境価値:大気中のCO₂を増加させないことに付与される価値


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