エナジートランジションにおける課題解決の重要な鍵を握る、
クリーン燃料としての水素・アンモニアの
活用に向け、技術イノベーションと
バリューチェーンの構築に取り組んでいます。
カーボンニュートラル社会の実現を目指す三菱重工グループの取り組み
近年、暮らしや産業のあらゆる場面で排出される二酸化炭素(CO₂)の影響による地球温暖化・気候変動が、⼈類の共通の課題であるということが認識され、この対策のために政策的、社会的に脱炭素化を進めカーボンニュートラルを達成することが、世界各国の共通目標となっています。
カーボンニュートラルとは、「CO₂の排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする」ことを意味します。つまり、CO₂ 排出を可能な限り削減した上で、排出せざるを得なかった分については、植林やプラスチック等への再利用により「吸収」または地下貯留などで「除去」することで、差し引きゼロ、つまりNet Zero(正味ゼロ)にするということです。
具体的には、省エネや、水素(H2)やアンモニア(NH3)を活用した脱炭素電力の導入による排出削減・排出ゼロを目指すとともに、CO₂排出削減が困難な分野においてはCO₂回収技術を用いてCO₂を回収し、貯留や利活用するなど、様々な取り組みが必要になります。
三菱重工グループは「2040年カーボンニュートラル宣言」MISSION NET ZEROを掲げ、当社グループのCO₂排出量(Scope1,2(注1))及び、バリューチェーン全体からのCO₂排出量を2040年までに実質ゼロ(Net Zero)にすることを目指しています。
バリューチェーン全体からのCO₂排出量とは、主に当社製品の使用によるお客様のCO₂排出量(Scope3(注2))からCCUS(注3)による削減貢献分を差し引いたものを意味します。
(注1)温室効果ガス(GHG)排出量の算定と報告の国際基準であるGHG プロトコルにおけるScope 1,2
(注2)温室効果ガス(GHG)排出量の算定と報告の国際基準であるGHG プロトコルにおけるScope 3
(注3)CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage
クリーン燃料のバリューチェーン構築によるエナジートランジションの加速
カーボンニュートラル社会の実現に向けては、化石燃料から、燃焼時にCO₂を排出しないクリーン燃料へのエナジートランジションが必要です。このクリーン燃料として期待されているのが水素です。
しかしながら、日本など再生可能エネルギーが乏しく、CO₂を貯留できる場所も限られる地域では、安価に水素を製造することができません。そこで、海外の再生可能エネルギーが豊富な地域やCO₂を貯留できる地域で安価なグリーン/ブルー水素を製造し、利用地まで輸送するバリューチェーン構築が必要になります。
水素は天然ガスより極低温にしなければ液化しないため、液体水素として輸送する方法の他、水素と大気中の窒素を結合したアンモニアや、水素とトルエンを反応させて得たメチルシクロヘキサン(MCH)として輸送する方法が検討されています。また、回収したCO₂をグリーン水素と反応させて得たメタンを、天然ガス代替とすることも検討されています。
三菱重工グループは、グリーン/ブルー水素を製造する技術、水素をハンドリングに優れたアンモニアに変換して輸送する技術、アンモニアや水素による発電技術など、クリーン燃料の製造・輸送・利用に関わる様々な技術を保有しています。これら技術を組み合わせてクリーン燃料のバリューチェーンを構築し、エナジートランジションを加速することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。