グリーン水素だけでの発電を目指した米Advanced Clean Energy Storageプロジェクトに参画
米国Advanced Clean Energy Storageプロジェクトは、再生可能エネルギーを利用した水の電気分解により取り出した水素(カーボンフリーの「グリーン水素」)をユタ州の岩塩空洞に貯蔵して、発電をはじめとするエネルギー生産に活用する事業です。
三菱重工グループは、岩塩空洞の開発・運営会社であるChevron社傘下のMagnum Development社と共同で、100%再生可能エネルギー由来では世界最大級となるこのグリーン水素ハブの開発を進めています。この貯蔵施設では、220MWの水電解装置を使って、1日あたり最大100トンの水素製造を実現します。
ここで製造・貯蔵した水素は、ユタ州で発電事業を行うインターマウンテン電力(IPA: Intermountain Power Agency)が建設を進める、当社製M501JAC形ガスタービンを中核とする840MW級GTCC発電所(IPP Renewed Project)に供給されます。この発電所は、2025年に水素混焼率(体積比)30%で運転を開始し、2045年までに水素100%での運転を目指します。
三菱造船、アンモニア分解水素の船舶利用に関する
フィージビリティ・スタディを完了
三菱重工グループの三菱造船株式会社はこのほど、アンモニア分解装置と水素燃料電池を組み合わせたカーボンフリーな船舶用発電設備と、アンモニア分解水素をアンモニア燃料主機関のパイロット燃料として供給する設備の2つのアンモニアソリューションコンセプトについて、米国スタートアップのアモジー社と共同でフィージビリティ・スタディ(実現可能性調査)を完了しました。
アモジー社は、拡張性・効率性に優れたアンモニア発電ソリューションを提供しており、触媒などでアンモニアを分解して水素を取り出す「アンモニア分解」技術を有しています。今回のフィージビリティ・スタディでは、アモジー社のアンモニア分解技術を活用した船上水素製造利用設備と、三菱造船の舶用アンモニアハンドリングシステム「MAmmoSS®(Mitsubishi Ammonia Supply and Safety System)」を組み合わせ、アンモニア分解技術で取り出した水素(アンモニア分解水素)を水素燃料電池へ適用する可能性について検証。また、アンモニア燃料に必要となるパイロット油を従来の重油・軽油からアンモニア分解水素に代替することで、アンモニア燃料船を完全カーボンフリー化する可能性についても検証しています。
MHIET相模原工場内の水素専焼エンジン発電セット実証設備
および水素供給設備が完成
三菱重工グループの三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社は、三菱重工グループの2040年のネットゼロ達成を掲げた「MISSION NET ZERO」を実現する製品開発の1つである、水素エンジンの製品化に取り組んでいます。
このたび、製品化に向けた次の段階として、新たに開発した6気筒の500kWクラス水素専焼エンジンを搭載した発電セット(注)の実証設備と、水素トレーラーで搬入する高圧水素ガスを減圧して発電セットに供給する水素供給設備が完成し、健全性確認のための試験運転を開始しました。都市ガスを用いた確認運転から開始し、今年度中に水素専焼の100%負荷運転における安定燃焼の確認を目指します。
(注)エンジンの出力軸に発電機を組付けた発電装置と、発電装置を運転するために必要な付帯設備(燃料ガス、潤滑油、冷却水、吸排気などの配管系統および発電機制御盤)、発電装置や付帯設備を格納し保護するエンクロージャを含む、水素ガスエンジンを用いて発電するために必要な装置一式を指します