川崎市橘処理センタープラント建設工事プロジェクト
PROLOGUE
200t/日の処理能力を誇る焼却炉が3炉、発電性能は実に14,100kWにも及ぶ、国内有数の規模となる大型ごみ焼却処理施設の建て替え工事。それが、MHIECが担う川崎市橘処理センタープラント建設工事プロジェクトだ。排ガス処理に関しても最新技術を取り入れるなど、環境問題への貢献にも大きな意味を持つプロジェクトに、社員たちはどのような想いで向き合っているのか。
MEMBER
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- 中野 博信
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エンジニアリング統括部 建設部
建設グループ
現場所長
1996年入社
機械工学科卒
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- 栗原 壮平
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エンジニアリング統括部 建設部
建設グループ
2013年入社
工学部 環境エネルギー化学科卒
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- 菊地 良鷹
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エンジニアリング統括部 建設部
建設グループ
2020年入社
地球環境科学専攻
都市環境システムコース修了
ー 早速ですが、本プロジェクトがスタートした経緯を教えてください。
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[中野]
現在建て替えを行っている橘処理センターは、実はもともと当社が納め、継続してアフターフォローを行っていたプラントです。稼働から約40年が経過し、老朽化が進んだことから建て替えを行うことになり、川崎市から発注を受ける形でプロジェクトがスタートしました。
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[栗原]
受注の結果を得られたのは、既存プラントのアフターフォローを通じて信頼を形成できていたことも大きかったと思います。このプロジェクトにアサインされたときは、信頼を積み上げてくださった先輩方に感謝するとともに、その信頼を裏切ることはできないと責任を感じました。
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[菊地]
私も同じです。この橘処理センターは“循環型社会を未来へつなげる架け橋”をコンセプトに掲げ最新技術を反映した施設。ごみを安定的に処理するだけでなく、環境課題への貢献の観点でも大きな役割を担うため、必ず成功させなければと強い気持ちで向き合っています。
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[中野]
意義が大きい分、難易度も高いプロジェクトでもあります。安定稼働はもちろん、排ガス処理性能や発電性能など設計上のパフォーマンスを具現化するプラントを完成させなければなりません。さらに住宅街の中にある現場のため、周辺の住民の皆さんへの影響が極力出ないよう工事の進行にも細心の注意が必要。関係者全員が一丸となってプロジェクトを進行しています。
ー プロジェクトの中で、皆さんはどのような役割を担っているのでしょうか。
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[栗原]
私たち3人が担っているミッションは工事の施工管理。設計まで完了した後アサインされ、建設工事から引き渡しまでが担当となります。ただ、施工管理とは言ってもすぐに工事を開始できるのではなく、そこに至るまでにもさまざまな準備が必要となります。
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[菊地]
まず取り掛かったのが、資材搬入、施工手法、安全対策などをまとめた施工要領書の作成です。これはどの現場でも作成するものですが、ほかの現場とは比較にならないほど細かい部分まで整理する必要がありました。
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[中野]
約150万人が暮らす川崎市には4カ所のゴミ焼却処理施設があり、市の担当者の方も工事や稼働後に発生し得る課題についての知見が豊富で、事前に避けられるリスクを排除するためにも施工要領書の段階で細部に至るまでご要望をいただきました。ここで大きく活躍してくれたのが菊地でした。
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[菊地]
当社では、新入社員はみんな論文を書くのですが、私のテーマがちょうど施工要領書の効率的な作成だったのです。大規模な工事のため、工事を進めながらも書類作成は続いていますが、論文内容も活かしながら順調に進められています。入社して最初の案件がこれほど大規模なプロジェクトでしたので、最初は何ができるのか不安でしたが、自分なりに力になれたと感じることができました。
ー 工事はまだ途中ですが、ここまでで最も大変だったポイントはどこでしょうか。
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[栗原]
コスト管理や安全管理など、すべてが大変だったというのが正直な感想です。ただ、特に苦労した部分を挙げるのであれば、大型機器の搬入と据付だと思います。
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[中野]
この現場は住宅に囲まれているため搬入口も限られます。そうした制限下で、必要な機器を必要なタイミングで搬入できるよう、分単位でスケジュールを組み管理する必要があります。予定通りに機器が到着しても、そこから必要な場所へ搬入するのも一苦労。極めて大型な機器の場合、ここから搬入した後で何度旋回し、そこから何cm動かした後で何度旋回というレベルで、緻密な動線管理が求められるのです。
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[菊地]
据付にも極めて高い精度が求められます。柱一つとっても数十メートルという高さになり、地上ではわずか数ミリのズレが最上部では数十ミリのズレになってしまう。それだけのズレが出ると周囲の機器の据付や配線にも影響が出るため、わずかな誤差も許さないよう徹底しました。
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[栗原]
また、大型機器を据え付けるクレーンはさらに巨大で重さも相当なもの。そのため、地盤がゆるいと沈降するリスクもあります。クレーン配置場所の水平を確保するのはもちろんですが、地盤検査も行い必要に応じて補強する。その上で、クレーンも機器同様に細かな動線管理をしてようやく設置できるのです。
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[菊地]
これらすべての作業を、建屋建築を担当するゼネコンの担当者や協力会社の担当者とすり合わせながら臨機応変に進行していく。若手の私から見れば、まるで綱渡りのような職人技。感銘を受けながら、自分もそんな仕事ができるよう日々精進しています。
ー こうした困難を乗り越えた先にある、やりがいや醍醐味を教えてください。
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[栗原]
計画通りのスケジュールで、計画通りの位置に無事機器が据え付けられていく様子を見ると、やりがいを感じます。よく地図に残る仕事と言われますが、まさにそうした目に見える形で自分の努力の成果が表れるのは、この仕事の醍醐味だと思います。
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[菊地]
私も自分が携わった部分ができ上がっていくのを見ると苦労が報われる思いです。私はまだ知識も経験も浅いため、できることが一つずつ増えていく部分にも喜びを感じます。最初は、協力会社の方の質問にも答えられず、持ち帰って先輩に確認してから回答していました。それが徐々にその場で答えられるようになり、感謝の言葉までもらえたときには、成長を実感しましたね。
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[中野]
私は経験も長く、ごみ焼却処理施設の現場は本プロジェクトで10案件目。今でも、完成に向けて施設ができ上がっていく様子に感じるものがありますが、それよりも後輩たちの成長を感じられることが大きなやりがいですね。多くの社員たちが現場で経験を積むことで、日に日に成長していく。今では、私がいなくても現場は大丈夫と思えるほど心強さを感じています。
ー 最後に、稼働に向けて今後の展望や想いについてお話しいただけますか。
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[菊地]
あたりまえですが、まずは無事に完成させたい。そのためにも、引き続き気を緩めることなく目の前の作業に全力を尽くしていこうと思います。今はまだ、据付も全体の4割程度の状況なので、残り6割をなんとか完成させたいとの責任感で日々走り回っています。
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[栗原]
完成したら終わりではなく、設計通りの性能を発揮し、安定稼働し続けなければ意味がありません。その意味では、施設が寿命を全うしてはじめて仕事が終わったと言えます。私はこれまでメンテナンスを中心に担当してきたので、稼働後にどんな場所でどんな問題が起きやすいのかについて知見があります。それを活かしながら、完成の先にある安定稼働を意識して、最後まで徹底してこだわり抜きたいと思っています。
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[中野]
早く二人に、特に菊地には火が入る瞬間を見てほしいなと思っています。やはりこの仕事の一番の醍醐味は最初のゴミが投入されて火がつく瞬間。施設に命が宿る瞬間ですから毎回感動します。30分でも1時間でも平気で見ていられます。これまで担当した施設も、稼働したら必ず家族も連れて見に行っているほど。この感動を早く菊地に味わってもらいたいですね。
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[菊地]
私も点火はとても楽しみにしています。建設して終わりではなく、稼働してこそ役に立つのがごみ焼却処理施設。火がつく喜びを感じたいのもそうですが、ごみ処理を通じて地域の生活に役立っている様子や、焼却熱を利用した併設の市民プールで地域住民の方々に貢献している様子を自分の目で見てみたいです。