開発・設計を支える設計支援インフラ

空調機技術部技術管理課 江口 剛

設計した空調機が振動に耐えうるかの振動解析や、空調機の中の空気の流れを調べる流体解析などの解析技術の取りまとめを行うほか、設計作業を進めるために必要なインフラの整備・機能向上なども江口さんの役割。

空調機技術部技術管理課

江口 剛

1986年
入社。高砂製作所タービン設計課に配属

1991年
技術本部高砂研究所ターボ機械研究推進室に配属

2003年
技術本部高砂研究所ターボ機械研究推進室主席研究員

2012年
冷熱事業本部空調機技術部技術管理課に配属

2017年
空調機技術部技術管理課主席チーム統括。技術士(機械部門)登録

  • 2022年現在
現在携わっている部署と仕事内容を具体的に教えてください。

格段に高くなった開発レベルとスピードに対応するため
設計作業に必要なインフラを整え、作業効率化を支援

「空調機の設計は30年~40年前は手作業で行っていました。今はソフトウエアを使ってはいるものの、当時と比べると開発スピードも開発レベルも格段に高くなり、一人の設計者への作業負担が大きくなっています。その作業効率化を図るために支援するのが私たちの仕事です」と話す江口さん。2012年に技術管理課に配属されて以降、空調機の設計支援を担当する大ベテランだ。

設計した空調機が振動に耐えうるかの振動解析や、空調機の中の空気の流れを調べる流体解析などの解析技術の取りまとめを行うほか、設計作業を進めるために必要なインフラの整備・機能向上なども江口さんの役割。

「情報共有のインフラがあれば、プロジェクトの伝達事項を一人ひとりに伝えるという手間も減りますし、個々の不備や疑問点などがあればすぐにフィードバックも可能です。設計者一人で多くの作業ができ、判断も短時間にできるよう、効率化を図っています」

長年、設計の現場に携わってきたベテランだからこそ、設計者の「かゆいところに手が届く」インフラ構築が可能なのであろう。

仕事へのこだわりや自信があるポイントを教えてください。

業務の全体像に目を向け、
本質を捉えられる人材に

1986年に入社して以降、設計、研究、技術管理へと配属され、現在は社内技術教育の講師も担当している江口さん。若手社員に対し、過去の自身の経験もふまえ指導している。

「私自身、新しい業務に携わる際は、その業務を一般化し、目的は何か、必要性は何か、これをやらなかったらどんな影響があるかを考えていますし、若手社員にも作業に取りかかる前に、それらを考えるステップを踏むようアドバイスしています。
というのも、私も若い頃、指示された作業をしたものの、実は求められていたものとは違っていて、自分の作業が無駄になった…という失敗があるからです」

「指示されたことだけに目を向けるのではなく、何のためにその作業をするのか、本当にやるべきことなのかなどをいったん考えてほしいんです。そうすれば全体が見えてきますから、万が一トラブルが起きても対処法が自ずと見えてきます。仕事をする際は、理屈に基づいた解釈と説明ができることを大切にしています」

今後の目標や展望を教えてください。

理屈に基づいた“素性の良い設計”を継承するため
設計支援をしていきたい

空調機の設計を終えるまでには、性能面や音などさまざなま試験をクリアしなければならないが、江口さんは「単に試験をクリアできたかどうかではなく、理屈に基づいた“素性の良い設計”かどうかが大切」と話す。

「しっかりとした理屈に基づいた設計を、私は“素性の良い設計”と呼んでいます。今回は試験で合格しても、例えば後々にモデルチェンジした際に不合格になってしまったら、それは“素性の良い設計”とは言えません。“素性の良い設計”をすることは最終的には企業利益にもつながりますから、この考え方を継承していけるように、開発支援を行っていきたいと思います」

さらに、ベテランとしての知識や技術もフル活用して、経験の浅い設計者をサポートしていきたいと語る。

「経験の浅い設計者に、目先の作業だけに振り回されてほしくないんです。どんなときも慌てず落ち着いて行動できるよう、解析やシステムの適切な使い方をアドバイスしながら、本人の成功体験が蓄積できるようサポートしていきたいと思っています」

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